夜、自宅で食事を終えた光一は、ダイニングテーブルに着いたまま、スマホを握っていた。
「今夜、LINEするからな」
と廊下でも花鈴に言った。
自分に暗示をかけるためだった。
スマホを見つめたまま、珈琲のおかわりを持ってきた田畑に言う。
「お前は俺が西辻のことを好きなんじゃないかと言うが。
特にあいつを好きになる理由もない気がするんだが」
「恋とはそういうものですよ」
「……ただ、二人でロッカーの毛布をもふもふしたときに、今まで感じたことのないような気持ちになっただけだぞ」
「それが恋というものです」
「あいつが最終面接に来たときも、何故、此処にっと衝撃を受けただけで、どきどきとかしなかったし」
「それが恋というものです」
「お前、適当に言ってるだろ……」
と側に立つ田畑を見上げると、
「そうやって、ぐずぐず言って、打つの引き伸ばさないでください。
私が打ってあげましょう。
はい」
と田畑は、いきなりスマホを奪おうとする。



