ウエディングドレスを着せてやろう

「光一か。
 ああいや、巽専務」
と氏原は言い換えたが、光一は、そこは気にせず、声を落として言う。

「氏原さん、この間から、営業部長が酔ってないときに一言言ってやるって言ってましたよね。
 席、かわりましょうか」
と自分の席の方をチラと見た。

「おう、すまんな。
 恩に着る、光一」
と言う氏原と席をかわる。

 そこは花鈴と話している男たちのグループが居るテーブルだった。

 花鈴が居るのとは反対側の端には元から座っていた氏原と、おじさんがひとり居たのだ。

 光一はそこにトレーを置いてすぐ、また立ち上がる。

 花鈴と同じテーブルの男の前に立ち、言った。

「かわってやろう。
 そこだと話しづらいだろう」

 えっ? は、はい……っ?
と戸惑いながら、男は光一と席をかわる。

 今日の専務、やけに親切だな、という顔をしていた。