ウエディングドレスを着せてやろう

「えーとですね。
 海沿いのホテルでアフタヌーンティーセットを食べたあとで、近くの公園を歩いて。

 その先のショッピングモールでお買い物をして。

 それから、小高い場所にある新しくできた、こだわりの窯焼きピザのお店に行きました。

 食事を終えて出てきたら、もう外は暗くなっていて。

 駐車場から街が見下ろせたので、すごく夜景が綺麗だったですね」

 光一はスマホを取り出し、画面を眺めたあとで、
「……それは俺がネットで見て計画していた、ラブラブデートコースじゃないか」
と呟く。

 あ、そうだったんですか。
 偶然ですねーと花鈴は言った。

「でも、別にラブラブにならなかったですよ。
 当たり前ですけど」
と笑う。

「美味しかったですよ、ピザ。
 そうだ、専務。
 ピザ、おごりましょうか」
とこの間の約束を思い出して言ったが、光一は何故か、

「……安芸さんの手垢のついた場所なんてもういい」
と言い出す。

 なんだかわからないが、子どもみたいに拗ねているように見えるのだが、気のせいだろうか。