ウエディングドレスを着せてやろう

 光一は一瞬、沈黙したあとで訊いてきた。

「待て。
 お前、俺と結婚してるのに、なんで安芸さんと見合いするんだ」

「いやいや、それ、写真だけの話ですよね」

「でも、役員たちは俺とお前が結婚してると思ってるのに。
 突然、お前が安芸さんと結婚したりしたら、話がおかしいだろう」

「ん?
 これって、不倫ですかね?」
と思わず言ってしまい、いや、それも違う、と正気に返った。

「あの、単に頼まれて見合いしただけなんで。

 安芸さんもお見合い乗り気じゃなかったみたいで、私が来たので、喜んでらっしゃいました。

 お見合いから解放されて嬉しかったみたいで、本いっぱい買ってくださったんですよ。
 それで、お礼をと思って」

「安芸さんと何処に行ったんだ」

 花鈴が言い終わらないうちに、光一がそう言ってくる。