セキュリティが頑丈なんじゃなかったのか?

 あっけなく寮に入ることができ、肩すかしを食らう。

 まあ、入れさえすればいい……。

 途中見つかって止められでもしたら面倒だから、人目を避けて進んでいく。

 エレベーターに乗り、最上階まで上がった。

 701……ここだ。

 サラ……ここにいるのか?

 真実を知ることに、怖さすらある。

 もしサラが俺以外を好きになって、俺以外の男と一緒にいることが事実だとすれば……サラの心が完全に俺から離れてしまったのかもしれないと思うだけで、恐ろしくてたまらない。

 でも……サラが他の奴に盗られることに比べれば、他のことはどうでもよかった。

 そのままドアを突き破ってもよかったが、中にサラがいるかもしれないからそんな乱暴なことはできない。

 今から俺は……サラの前の、優しい“春ちゃん”だ。