桜の蕾が芽吹いて、木の葉が舞い散る。


3月の上旬。

私は3年間通った高校を卒業した。



「はい、チーズ!」



仲良かった友達と記念撮影をして、涙目になりながらも笑いあって、最後の言葉を交わして。



「また会おうね!」

「うん!」



不確かな約束を交わして、ふと視線を動かすと君が見えた。


あーあ、君を見つけるのがこんなにも得意になったなんて、私相当重症だな。


せっかくの最後だし、話しかけたい。

クラスメイトだし、写真を一緒に撮るくらいならいいよね?



「……っ、あの!」

「お、卒業おめでとう」

「そっちも、おめでとう」



君の柔らかな笑みのドキッと胸が高まる。