「おはよう、準備出来たか?」


部屋の外から、聡志の声が聞こえる。


「おはよう。もう少しだから、ちょっと下で待ってて。」


そう答えた私は、手を早める。今日は勤労感謝の日、そして悠と白鳥先輩の結婚式がとり行われる。招待を受け、式から参列する私は聡志と、会場になっている都内のホテルに、一緒に向かうことになっていた。


「いい天気で良かったな。」


「うん、やっぱりこう言うおめでたい日は晴天じゃないとね。」


家を出て、そんなことを話しながら駅に向かう私達。2人共、手に着換えをもって、普段なら自転車を飛ばす道程を今日は歩く。式から披露宴、そして二次会と今日は長丁場だ。


電車に乗り込み、少しすると加奈が合流。


「悪いね、お邪魔虫で。」


そんなことを言う加奈に


「桜井、キレイになったなぁ。彼氏でも出来たか?」


と聡志。それに対して


「フーン。塚原くんもそんなお世辞を言えるようになったんじゃ、感心だけど、彼女の前で、他の女子を褒めるのは、あまり感心しないなぁ。」


なんて、加奈がたしなめてるから私は思わず、笑ってしまった。


今日、私達は沖田くんを加えた4人で、披露宴の受付を頼まれている。現在都内で一人暮らしの彼とは、現地合流の予定。


会場に着くと、沖田くんは既に到着していて、まずはお久しぶりの挨拶。着換えを済ませ、控室で両家のご両親、親族にご挨拶して、待っていると、やがて式場に呼び込まれた。


式は新婦たっての希望で神前。悠曰く


「日本人の結婚式は絶対に神前だよ。和装で三三九度だよ。」


なんだそう。いわゆる授かり婚から1年半。娘の舞ちゃんが1歳を過ぎるのを待ち、プロ野球担当の新聞記者である先輩の仕事がオフシーズンになる時期に設定された今日の式。


もう1つ付け加えると、前日は先輩の25回目のバースデー。6年前の先輩の誕生日に、2人は思いを通じ合わせた。1日ズレてはしまったけど、今日が式の日に選ばれたのは、そんな意味もある。


打ち掛け白無垢姿の悠は、それは綺麗だったけど、実は1つ誤算が。というのも、おめでたい話なんだけど、悠のお腹の中には第二子が。


まだ、お腹まわりが目立つ時期ではなかったけど、帯があんまりキツく絞められないからちょっと大変だったみたい。


式自体は滞りなく終了。私はやっぱり教会がいいかなとは思ったけど、神前式も厳かで、よかった。親族でもない私達を


「由夏と加奈は親族みたいなもの。絶対に参列して。」


と呼んでくれた悠の気持ちが、嬉しかった。