“好きな芸能人は?”と聞かれたら、
僕は2人の人物を挙げる。


“佐藤浩市”
“リリーフランキー”



“じゃあ尊敬する人物は?”
と聞かれたら、今日からは・・

もしその質問が飛んできたら、
僕は食い気味に“豊川テツ”と答える。


理由は同じ。


佐藤浩市もリリーフランキーも・・
そして豊川さんも・・

・・・・理由は同じだ。




「さてと・・そろそろ帰りましょうか。」


「豊川さん。」


「はい。」


「もし・・この力が豊川さんと同じ状態まで開花しても・・。」


「・・・・・・。」


「もし・・豊川さんが毎日体感するような恐ろしい日常が幕を開ける事になっても、

僕もあなたと同じ様に、
絶対に自殺なんてしません。」


「そうですか。良い心構えですね。」




屋上から館内へと戻り、階段を下る頃にはまたいつもの猫背に戻った。

またいつものたどたどしい足取りに戻った。


だけど・・・

いつもの弱々しい後ろ姿から、確かに僕へ向けられたメッセージが溢れていた。







       生きていくんだ。
          それでいいんだ。

             終