「優一、おまえどう思う?」

長男の良一は弟二人を自分の部屋に呼んでくつろいだ。

三男の純一も次男の優一の考えを知りたかった。

「別に、どうでもない。気の強そうな女だったな。」

「だな、俺もそう思った。」

純一は二人の兄とは意見が違った。

「僕はそんな風には見えなかったけど。」

「マジ?」

「なんていうか、度胸はあるけど、繊細な感じがした。」

「はあ?」

「おまえは女を知らないんだよ。」

兄たちに反論されて純一は黙り込んだ。

「破談だな。」

「言えてる。」

「俺たちは女に不自由ない。純一、おまえも女に縛られないように気をつけろよ。」

兄たちとは違い

女友達すらいない純一にとって

何も好き好んで妻を選ばずとも生きていけるという

正しい結婚観に乏しい兄たちの考えは理解できそうになかった。