もう温子さんってば

サッパリしすぎな一文で済ませましたね。

これはお仕置きで決まりです。

くくっと小さく笑って純一は階下のダイニングへ降りた。

キッチンからフレンチトーストの甘いバターの香りが漂い

空腹感が増した。

ダイニングテーブルにつき

お決まりのロイヤルミルクティーを飲みながら

今度の週末のデートの展開を頭の中で模索した。

と同時にプレゼントを何にするか悩んだ。

温子はピアスもリングも腕時計でさえしていなかった。

普段寝る時も裸でネックレスをするのだろうか。

「純一、早えな、何かあるのか?」

長男の良一がダイニングに顔を出した。

「良一兄さん、おはようございます。月曜日ですよ、週の初めですから。」

「あー、週明けはキツイよな。」

良一はポットからカップに注いだブラックコーヒーを空きっ腹に流し込んだ。

そこへ次男の優一が悪態をつきながらやって来た。

「くそっ。」

「なんだ、優一、昨夜の女はハズレだったのか?」

「あのクソ女、俺は三番目だとかぬかしやがった。」

「あっはー、どっちがだよな。」

「兄さんたち、朝から女性の話題ですか?」

「おまえは気楽でいいよな、女の悩み一つないだろ?」

「そうですね、僕にはありません。」

香ばしく焼きあがったフレンチトーストに

フレッシュな生ホィップクリームをのせて純一はせっせと口に運んだ。

「純一、おまえ朝からよくそんなに食えるよな。」

「兄さんたちもちゃんと食べないと昼までもちませんよ。本日はNYから現地の重役がお見えになりますから。」

「はあ?マジか?」と良一。

「俺、聞いてねえ。」と優一。

「とにかく、いつも以上に気を引き締める必要がありますから。」

「面倒くせえ。」と良一。

良一と優一の不満を耳にしながら純一は食後のフルーツを平らげにかかった。

「おまえ、よく食うよなー。」と優一。