こりゃあ困ったことになったかも

と翌朝の満員電車に揺られながらポツンと思った。

温子は年下のお坊ちゃま純一との初デートでベッドを共にし

身体の相性がとてつもなく良いことに気づいた。

自慢できるほどの男関係はないが

セックスに関してだけは妥協できなかった。

純一自身は意識して奉仕したのではないと

その辺りの空気は察した。

他の女にもそうなのだろうかと一瞬いぶかったが

女に関しては疎そうだと思い直した。

ということは

彼はアレが普通なのだと結論を出せた。

「おはようございます。」着信。

「月曜日ですね、今週もお忙しいでしょうか。」

と続いた。

まったく屈託のない

悪い女に汚染されていない

真っすぐな姿勢である。

純一の温子に対する地の態度と言動には

育った環境と持って生まれた率直な性分が表れていた。

一目惚れと言われ

甘えたいと訴えれば許され

この先付き合いが続くにつれ

束縛されるようになるだろうか。

恐らく純一はそうできない自分に苦しむのかもしれない。

温子が自由を好むタイプだとわかって。

「では、次の週末までお互い仕事に励むことにしましょう。」

純一らしい文末である。

平日は会えなくてもいいのだろうか。

不思議な男である。

「土曜日を楽しみに仕事に耐えることにします。」

温子はそう返信した。