純一はハッと眼を覚ました。

なぜかというと

胸の辺りにくすぐったい感じがしたからだ。

何だろうと横を見て固まった。

そんなバカなっ!

温子の温かい寝息が自分のまじかにあり

腕枕をしたのだろうか

右腕に若干のしびれと重みがあった。

今の自分の状況を見ると

白いバスローブの前がはだけて上半身の肌がひんやりとする。

掛け布団の中では

片脚に彼女の脚が絡んでいるのを意識した。

その途端、

腰までかかったふわふわの羽毛布団越しでも気づけるほど

下半身がムクリと動いた。

ヤバいっ!

今すぐバスルームへ逃げ込みたい。

純一は一瞬パニクったが

ぐっすりと寝入っている温子を起こさないよう

細心の注意を払ってミリ単位で動いた。

きっと後で笑ってしまうほどのスローモーションだ。

とにかく今は少しも笑えない状況である。

そっと腕を抜き

彼女の頭にゆっくりと手を添えて上半身を引いた。

大丈夫だ。

彼女はスヤスヤと寝息を立てたまま動かない。

次は脚だ。

右脚に乗っかった形で彼女の脚が引っかかっていた。

ゆっくりとシーツに沈ませるように自分の脚をスライドさせた。

どうやら抜け出せた。

そのまま息を止めてそっとベッドから這い出た。

心の中でふうっと息をついて

足音を忍ばせてバスルームへ向かった。

まず、

シャワーだ。

もおもおとした湯気の中で頭からジャージャーと浴び

壁に両手をついた。

いいか、落ち着け、落ち着くんだ。

と自分で自分に言い聞かせた。

順を追って思い出せ。