念願のデートだ。

純一はカジュアルな紺色のスーツに決めた。

相手は年上のキャリアウーマン。

憧れの温子さん。

悩みまくって決めたプレゼントのネックレスの包みを

カバンから出してもう一度ながめた。

丁寧に渡したい。

ただそれだけだ。

受け取ってくれるだろうか。

「よし。」と気合いを入れた。

待ち合わせ場所は白金のとあるカフェにした。

ランチもできるが

軽くお茶するだけでも緊張してしまうだろう自分が

ランチなどとても神経がもたないと思い

初回は断念した。

何事にも経験値のない純一は常日頃から分相応の行動を心掛けた。

大仰で高慢ちきで独断と偏見にあふれた二人の兄が良い見本である。

「僕は兄さんたちとは違うんだ。」

今日のデートがうまくいって

彼女とずっと付き合えたら。

その夢のような願いが叶ったらと考えただけでドキドキする有り様だ。

うぶとしか言いようがない。