「そういえば、一ノ瀬くん、
バスケ部のレギュラーなんだよね。

うちのバスケ部強くて有名なのに、
すごいね、上手なんだね!」


「スポーツ推薦で入った奴は
みんなレギュラーだよ」


「そっか! 
私も今度練習見に行ってみようかな」


なにげなく呟いたその一言に、
それまでぼんやりしていた
一ノ瀬くんの目付きが

ほんの一瞬、鋭くなった。


「来なくて、いいよ」


それだけ言うと、

一ノ瀬くんはひとつ伸びをして
手元のスマホで

バスケの動画を見始めた。

 
わわっ!


そっか、
“練習見に行く“っていうのは

NGなんだ。


『お前は来んなよ』的なやつだっ!


「ごめん、ごめん。
真剣に練習してるのに、
邪魔だよね」