「羽衣、一ノ瀬くんのファンに
変なことされなかった?」


「なにもなかったよ、大丈夫!」


心配そうに
私の顔を覗き込んだ朝歌に
笑って答えた。


「でも、朝の体育館裏の花壇なんて、
誰もいなかったはずなのに。

どうしてこんなに大きな噂に
なってるんだろう?」


不思議に思っていると、
当然のように朝歌が答える。


「こっそりと、
一ノ瀬くんを見てる子がいたんでしょ」


「そりゃそうだよ、
学校一の人気者なんだから」


叶奈ちゃんが当然といわんばかりに
言葉をつなぐ。


「すごいね、芸能人みたいだね……」


「それだけ
注目を浴びる存在だってことだよね」


「で、もう一度聞くけど」


朝歌の瞳がきらりと光る。


「本当になにもなかったの?」