「おかえりなさい」


如月組の最年少幹部。
鹿妻 悠月様が車から降りてこられる。


「あぁ、様子は?」


「変わりありません。
今日はこの後妃瀬(ひとせ)組
妃瀬 宏輝(こうき)様とのお食事です。」


「.....服装を着替える。」


「かしこまりました。」


いつもよりは軽い軽装で
俺達には教えて貰えない方に会いに行かれる。


鹿妻様が部屋にはいられると
周辺警護の1人が近づいてくる。


「あんな女に毎週会いに行って、
なーにが楽しーんすかね?」


「無駄口を叩くな颯馬(そうま)」


「へーへー、瀬谷(せや)さんは
そればっかっすね」


「うるさい」


ギロりと睨むと肩をくすめるだけに終わる。


「確かにくっそ美人っすけど
何もなさそうな一般人すけどね」


「何か考えがあるのかも知れないだろ。」


「妃瀬組に気に入られる様な理由が?」


「口を慎め」


「みーんな言ってますよ。
妃瀬組に尻尾振るだけの無能って」


「黙れ」


「っ、ま、俺はあんたに拾われたんで
あんたに従うだけっすけどね」


それだけ言うと颯馬は俺の目の前を通って
反対側の襖の前に立つ。


チッ、あいつの無駄口の癖を直させないと


彼は、


鹿妻 悠月は、
見た目以上に冷酷なのだから。