貪欲に愛を欲す

ポロポロと涙が出てくる。

「本当はね、みんなみんな不幸になればいいのにって思ってた。
両親も、瞳も、私の上に跨る男も、離れていく元友達も。みんなみんな。

でも、それで鷹人を失うくらいなら、
このままでいい…」

私の涙を拭き取り、
愛おしそうに頬にキスを落とす鷹人。

この人を、誰にも渡したくない。

「何があっても、俺はお前のものだ。
くくっ、不幸なんて言葉じゃ表せないくらいの絶望を見せてやるよ。」

ニヤリと笑う鷹人は、極道の人間で。
背筋が凍る。

でも、不思議と怖いとは思わなくて…
むしろ、嬉しいと思ってしまう。



やっと、唯一の男を見つけたーーーー。

「絶対。一生私のものよ?」

「あぁ。お前に一生を誓う。」

お互いに寄せ合う唇が重なった。


鷹人の指が私の耳朶に触れる。

「ピアス、開けてんだな?」

こくりと頷く。
言えないけれど、中学卒業と同時に付き合った人と開けた。
…1週間で瞳に乗り換えられたけど。

「んじゃ、付けれるな。」
優しい笑顔を浮かべた鷹人は、
自分の耳に手を伸ばし、
付けていたピアスを外す。