貪欲に愛を欲す

だから、麗が拒否を示すとなると、
考える必要がある。

「黒翁のお姫様が、1番だめかも。」

「そこは大丈夫だ。黒翁は姫は取らねぇ。」

呆気にとられている麗。
「嘘。姫がいない族なんてあるんだね?
暴走族もよく分からないなぁ。」

「まぁ、族によって色々だからな。
でも、黒翁は姫を取らねぇのが暗黙の了解みてぇなもんだ。取ったら取ったで面倒だからな。」

麗の場合は先代である俺の頼みということで護衛をしてもらうが、此奴が姫になることは有り得ねぇ。そもそも、させねぇが。

「それじゃあ、鷹人の時も
お姫様居なかったの?」

「あ?いる訳ねぇだろ。
そもそも過去にも、お前以外に大切な女なんていねぇしな。」

姫とは暴走族の大切な女。
基本的には総長の女だ。

麗と出会うまで女を嫌悪してきた俺が、
姫なんて取るわけがねぇ。


「ふふっ、そっかぁ。嬉しい。」
ニコニコと笑う彼女。

そんな麗を見ていると、俺の女嫌いも良かったのではないかと思えてくる。

「あぁ、言い忘れてたが、
そいつ等にお前の護衛を頼んでいる。」

嫌だがな、と付け足す。

すると、俺以上に嫌そうな顔をしている麗。