貪欲に愛を欲す

「ううん。若頭さんで社長さんなのにそんなこと思うわけないでしょ?」
「いちいちさん付けすんの可愛いな。」

何かまだ続きがあったみたいだが、
俺のことをさん付けで呼ぶ麗が可愛くて、
つい声が出てしまった。

「もう…」
と、頬を赤らめる彼女。

どうやら、“可愛い”は言われ慣れていないらしい。

本当に此奴は、俺の心を掻き乱す。

「そうじゃ、なくてね。
その、極道だから…不良校に通って、
バイク乗り回して、暴走族入ってそうなのに…って思って。」

…とんだ偏見だ。
まぁ、あながち間違ってはいないがな。

「くくっ、まあ、暴走族には入ってたな。」

俺の言葉に目を見開く麗。

「ええっ!?李鵬高校生が!?」

驚いているところ悪いが、
李鵬は偏差値がいいと言っても、
勉強ばっかしてるようなお堅い奴らがいる訳では無い。

御曹司や令嬢、極道の奴ら。
金を持っている奴らばかりということで
偏差値も上がっているだけだ。

「そもそも、李鵬を牛耳ってるようなもんだぞ?俺が入ってた、“黒翁”はな。」

「黒翁…」

くくっ、結構有名だというのに、全く知らないらしい。さして興味もなさそうだ。

流石俺の女、だな。