貪欲に愛を欲す

「…別に、逃げ出すなら監禁でも何でもすればいい。俺から離れたいと思ったら、俺以外頼れないようにすればいい。」

それは、鷹人の狂気。

「でも、そしたら、そんなことしても、麗の心は俺から離れていくっ。」

頬に、涙が伝う。

「お前の自由を奪いたいわけじゃない。
でも、お前を自由にしたら…

いつ狙われるかも分からねぇ。
いつ殺されるかも分からねぇ。
お前の身が散ったら、俺もお前と同じ場所にいく。

でも、それ以上にっ、」

鷹人の足の間に座っていた私は、
腰に回っていた拘束を解いて、
鷹人に跨る。

鷹人の頬に手を置いて、見下げている私と視線が合うように持ち上げる。


視線が、絡まる。

私の最愛の男は、
誰もが認める最強の男は、
深い漆黒の瞳を、
私への気持ちが溢れて、揺れている。


「それ以上に、お前に自由を与えることで俺から離れていくのが怖ぇ…

愁も、銀も気に入らねぇ。
俺以外に、大切なものを作られるのが怖ぇ。

俺の知らないところで、俺の知らないものが、俺以上に大切なものになったら、
俺は、嫉妬で可笑しくなる。」

殺してしまうほどにな。


残忍な笑みを浮かべる鷹人。