貪欲に愛を欲す

鷹人の執着は私に安心をもたらしてくれる。

だからこそ、わたしも鷹人に安心を与えたい。

極道の彼に、安心なんて馬鹿みたいかもしれないけれど、
私といる時くらいは、
“幸せ”を感じて欲しい。

私は出会った瞬間から、
沢山貰ったから。


「ねぇ鷹人?何が、不安…?」

鷹人の首元に頭を置いて、
腰に回されている腕をさする。


途端にピクリと動いた身体。
鷹人が、息を吐き出す。


「不安とかじゃ、ねぇ…
不安、なんかじゃねぇ…」
ぽつり、ぽつりと言葉を紡ぐ。

「俺の生きてる世界に、普通なんてものはない。いつ死ぬかも分からねぇ。今までだって沢山のものを傷つけ、傷つけられてきた。

…そんな、極道の俺が、
唯一の女を傍に置くなんて。
麗を傍に置くなんて、お互いに自殺行為だ」

全てを諦めているような声色。
それは、そんな鷹人が、
瞳に全てを奪われた私に似ていて。

凄く、胸が痛くなった。

「でも、お前を離すことの方が無理だな。
俺は、この汚い世界にお前を引き込むことに何の躊躇いもなかった。俺が守ればいいって思ってた。」

鷹人が拳をきつく握る。