貪欲に愛を欲す

“黒崎鷹人”という男は、
誰もが尊敬し誰もが畏怖する、
この街を…ううん、この国を代表する、
最強の男。

強くてカッコイイ、
望むものならば何でも手に出来る。

そんな、男。


私とは境遇も生まれも違うけれど、
彼は彼で孤独だったのかもしれない。

裏切りを当たり前として、
いつ命を奪われるかも分からない世界で生まれた彼。

人のことを信じられないのではない。
信じては、いけない。


そんな人が愛する人を見つけて傍に置くことなんて容易いことではない。

自分の危険も増えるし、
何より相手への危険なんて計り知れたものでは無い。

もし、鷹人は私が死んだら何を思うのだろう。

悲しむ?仕方ないと諦める?

私は…
自分の世界も終わらせてしまう自信がある。

きっと鷹人も、私と同じ気持ちだと思う。

そんな人の執着が、人並みなわけがない。

自分を裏切らないために。
周りの敵に奪われないために。
傷つけないために。
…離れないために。

私の全てを把握し、関わる人間も限り、
何処にも行かないように足枷をつくる。


…それが、とても心地いい。