貪欲に愛を欲す

そして、ニヤニヤ顔の愁に、
鷹人が凄い低い声を出す。


「お~怖い怖い。
てことで、手続きとかしてくるねぇ?
麗ちゃん、制服持ってきてあげる。」

愁の言葉に、気分も上がる。

「ええっ!ホント?ありがとっ。」

私の言葉に、ほんのり顔を赤くした愁。

「…ううん…そう言えばそんな話だったねぇ?俺が持ってくるのは麗ちゃんが着る制服だよぉ?」


…何だ、鷹人のじゃないんだ。

折角上昇した気分が再び下がる。


「愁」
途端に、鷹人が唸るような声を出して、
私の背後から威嚇。

「…ごめんって、それじゃあ
また来るねぇ~?」


ばいばーいとひらひらと手を振りながら、
愁が帰っていく。


何時もならば「二度と来るな」なんて悪態をつく所だけれど、チラリと後ろを見れば無言でガンを飛ばしている鷹人。

それから、愁が帰るために
廊下の電気がついて、
バタンとドアが閉まる音がする。

そして、

まるでそれを待っていたかのようにして
ようやく口を開いた鷹人。

「…他の男に愛想を振りまくな。」

腰に回していた手を首に回し、
更に距離を詰める。

けれど、その手は不安からか震えていて。

きっと、本人は気づいていない。