貪欲に愛を欲す

呆れたような鷹人の声。

話にならなくて、愁に目線を向ける。

「麗ちゃん。こればっかりはダメだよ。」

…愁も、鷹人と同意見みたい。

「麗ちゃんの気持ちも分かるよ?でも、昨日色々説明したよね。鷹人の女ってだけで色んな奴らから狙われるって。
麗ちゃんが働くってことは、
狙われる機会を自ら増やすのと同じ。」

そうでしょ?と私を諭すように言う愁。

昨日、鷹人が電話で席を外した時に、
愁から“鷹羽の妃”とはどういうことか教えて貰った。

いつ攫われかも、いつ危険に晒されるかも分からない。
最悪死ぬかもしれないってこと。

…つまり、鷹人に迷惑をかけてしまうということ。

それは絶対にダメ。
私が働くことで、鷹人に迷惑をかけてしまうことになるのか。

コクリと頷く。


「でも、いいの?」
鷹人に目を向ける。

「当たり前だ。俺が出したいから出すんだ。それに、お前が働く方が無理だ。」

わかったか?と私の頭を撫でてくれる鷹人。

「…うん。ありがとう。愁も、ね。」

感謝を口にすると、
2人とも笑顔で、
「あぁ。」「いーえ?」
と返してくれた。