貪欲に愛を欲す

「ダメだ。麗が下の名前を呼んでいいのは俺だけだ。」

…ダメらしい。
いや待って、鷹人の許容範囲狭すぎない?

「うーん、じゃあ、水谷?」

って、麗ちゃんも従順すぎる!

「それでいい」
満足そうな鷹人。
よくできましたと言わんばかりに、
ゆるゆるの顔で麗ちゃんの頭を撫でる。

「ぜんっ、ぜん!良くないからね?愁でいいから。」

「ふふっ、うん。愁って呼ぶね。」

その後も、「あ゙?」と低い声を出しては、
麗ちゃんが俺を下の名前で呼ぶのを却下していたけれど、

結局何だかんだで、
愁と呼んでくれることになった。


…俺の足には、鷹人から蹴られて出来た傷が2つ出来たけれど。


けれど、主の女…
ううん、それだけじゃない。
鷹人の女ってだけじゃなくて、純粋に、

麗ちゃんという1人の人間と、
少しずつでも仲良くなれたような気がして。

これからもっと距離が縮まればいいなと、


甘々な雰囲気でイチャつくカップルを見ながら、口角を上げた。


何か、俺も本気の女見つけたい気分。