貪欲に愛を欲す

“美しい”という言葉がこんなにも似合う女は麗ちゃん以外いないと思う。

人形みたいに、整いすぎた顔。

そりゃあ、僻みも妬みも生まれるわ。ってくらいにね。…って、こんな子に僻めるなんて自分にどれだけ自信があるんだろう?

学校では虐められてるみたいだけれど、
虐めれる子を見てみたいくらい。

どうせ、見るにもたえないくらいの勘違いブスなんだろうけどねぇ。


けれど、鷹人が惹かれたのは、彼女の美貌なんかじゃなくて、その雰囲気なんだと思う。

辛い過去を持つが故か、
深い漆黒に包まれたその瞳。

俺に、紅のガーベラを演じた時の瞳は…
なんと言うか。全てを恨んでいるかのような、そんな、暗い…漆黒の瞳だった。

…あれに呑まれたら、もう終わりだよね。

そして、無闇に近ずけないほど儚い、麗ちゃんを纏う空気。

凛と目線を上げる彼女は、強い女性に見える。
けれど、知れば知るほど、見れば見るほど露になっている。彼女の弱さ。

…ホント、試すなんてアホなことしたなぁ。
心の底からそう思う。

今、鷹人に抱きしめられている彼女は、
幸せそうだけれど、俺と話している彼女は、今にも泣き出しそうで…いや、今にも崩れ落ちそうなほど、弱かった。