途端に頬を赤く染める男。
ふふっ、と笑いその場を立ち去る。

こんなことをしているから、売春女なんて呼ばれるのだろうかなんて考えながら家に帰る。


父は公務員。母は専業主婦。可愛い娘。
大きな一軒家に住む家族。

絵に書いたような幸せな家庭に、私はいない。


高校に上がると同時に、渡されたボロアパートの鍵。一人暮らしをしろと渡された。

それは、物心着いた時から、両親に嫌われていた私からしたら、むしろ遅すぎるくらいで。

何も言わずに了承し、今の家に住み始めた。

物欲皆無の私の家にあるのは、ベッドと古びたタンスだけ。


家に帰ると制服も着替えずに、
ベッドに横たわり、瞼を閉じた。



起きたのは、7時間後。
意外と寝れたなぁ、
なんて考えながら身体を起こす。


直ぐにラフな格好に着替え、
財布を持って家を出る。

男に犯された日は、必ず行く近くの公園。

高校生にもなって、公園のブランコに揺られるのが好きなのだ。
なんだか、何もかも忘れられるようで。



ふふふんと鼻歌を歌う。
公園の入り口にある自販機で水を買って、
ブランコに向かって歩く。