街では、『紅のガーベラ』なんて呼ばれている私には、たくさんのあだ名があって。

“誘えば股を開く美作麗”
“人の彼氏を奪うのが好きな美作麗”

何度、彼氏を奪われたと殴られたか。

はぁ、と、つい溜息を吐き出すと、
真ん中の彼女が、かぁっと効果音でも着きそうなほど真っ赤に顔を染めて私の頬を打つ。


中高時代で学んだこと、
どんな噂も、否定も肯定もしないこと。
すれば一層噂は広まるから。

口を開くことも無く、鞄を取ると
彼女達の横を通り過ぎて、クラスを出る。


そのまま、靴箱まで歩き、
靴を履き替えると、学校から出て、家に帰る。


…これも、日常。

ああいう状態の時は、あの場から立ち去らないと事態は落ちつかない。
だから、何も言わずにその場から立ち去る。

このまま家に帰るかーと、
…正門を出ようとした時、
目の前には2人の男が立っていた。

「うわ、美作麗じゃんっ!
やべぇ綺麗だわ」
「麗ちゃんサボり?俺たちとホテル行かね?」
直球に誘ってくる男達に、苦笑いしか出来ない。


…これも、日常。

またもや、はぁ、と溜息を着いて、
右側に立っている男の頬にキスを落とす。