貪欲に愛を欲す

「あれれ?警戒させちゃった?
俺、水谷 愁【Mizuya】愁って呼んで?
んで、紅のガーベラちゃんの名前は?」

「…」

何も言わない私。
ただ、目を伏せていると、何かを感じたのか
私の背中に回す手に力を込めた鷹人。


「…愁、てめえ‪が此奴を信じれねぇのは知らねぇが、それが俺の女に聞く口か?
長年側近だからか?気に入らねぇなら例えお前でも俺はお前を側近から外す。

…舐めてんじゃねぇぞ」

めちゃくちゃ低い声で言った鷹人。

「チッ、愁飯買ってこい」
何も言わない愁…水谷さんに気を使ったのか、
この部屋を出るようにいう鷹人に、
「承知」とだけいって出ていった水谷さん。

眉間に皺は寄ってるし、声だってめちゃくちゃ怖いのに、こんなにも優しい鷹人。

あぁ、だめだ。ハマっちゃう。


「鷹人、ごめんなさい」

「何がだ?」

「だって、…挨拶、出来なくて…」

私が申し訳なさそうに言うと、
ふっと笑った鷹人。

「愁にか?んなのはどうでもいいんだよ。」
そういって私の頭を撫でてくれた。

温かくて、嬉しくて
つい顔が緩む。