貪欲に愛を欲す

自分でも苦笑するしかない、狂気。

ただ、心の底から、俺は麗を欲している。


そして、麗が口を開いた。

「…愛。私のこと、愛して、大切にして欲しい。」


嘘を吐けるほど、麗は器用ではない。
漆黒の、強い目で、ひたすらに愛を欲している麗。


ニヤリと口角があがり、
「俺からのか?」

そう尋ねると、
首を横に振った麗。
「誰でもいい…」


そんなことを言う麗に、
ふつふつと怒りが沸き起こる。


誰でもいい?俺以外からの愛を受け入れるのか?

通じあってもいないのに、
そんなことを思う俺は、とうとういかれちまっているらしい。


けれど、…
わかっていないなら、教えればいいだけだ


…麗が求めるだけ、いや、それ以上の愛をお前に注ごう。

俺以外見れなくなるように、
俺以外の愛を受け付けなくなるように。


ただ、お前だけに俺の、この狂愛を。



くくっ、何かを感じる、と思い来てみたら、
“感じた”では済ませられないほどの宝を見つけてしまった。

俺の直感も、まだまだ鈍っていないらしい。

麗を、唯一の女を見つけたことへの嬉しさから、上昇した気分のまま、麗を抱き上げ、
車に歩みを進めた。