波佐間高校。私と瞳の通っている高校。
この街じゃ有名な不良校だ。

もともとは、偏差値の高い進学校を志望していたけれど、両親が許してくれるはずもなく、
瞳と同じ高校に行くことになった。


ガラッ、と自分のクラスに脚を入れると
コソコソと話始めるクラスの人達。
クスクスという笑い声も聞こえる。

「美作麗、昼休みにまで男誑かしてたんじゃなぁい?」
「どうせならその男と消えてくれれば良かったのに」

…日常。
噂話や陰口に心を痛めていたのは、中学生まで。
高校に入る時にはもう、日常でしかなくて。

慣れって怖いなぁ。なんて思いながら、
5時限が始まるまで寝ようかと、
目を閉じた瞬間、背中に感じた激痛。


…いきなり、蹴られた…

痛みで重い身体を起こし、後ろを向くと、
目に涙を浮かべた女の子と、
その後ろには取り巻きが3人いた。


「私の彼氏っ、奪うなんて最低っ!」
耳が痛いくらいの高音で叫び、
更に泣き出す彼女。

そして、そんな彼女を庇うように
ぎゃあぎゃあと言い出す取り巻き達。


…これも、日常。