貪欲に愛を欲す

何にも価値がないように感じる。

悲しい、悔しいなんて負の感情は勿論ないが、
心が満たされるような充実感もない。

ただ、画面の奥で起こっていることが、
まるで他人事で。

報道陣が口を揃えて言っている、
「娘に対して、どんな感情を持っているんですか!」なんて言葉にも、
なんの感情も抱かない。


「ふふ、ねぇ鷹人、
私ね…、やっぱり、貴方が全てみたい。」

鷹人の方を見るわけでも、鷹人に伝えたいわけでも無く、独り言のように声にする。

「あんなに苦しかったのに。
あんなに憎んだのに。何だかもう、どうでもいい。貴方が傍に居てくれるなら、別に、なんでも。」

謝って欲しいとも、苦しんで欲しいとも思わない。
ただ…
「私と貴方の邪魔をしないなら、
幸せに暮らしてもらっても、構わない。」
私達の邪魔をしないなら。


私を包む鷹人の雰囲気が凄く柔らかくなった気がする。
きっと、私の後ろでニヤニヤしているんだろう。

「ふっ、俺は、お前を傷つけたやつがのうのうと生きているなんて許さないが…
麗の中に、俺しかいないと考えると、機嫌がいいな。」

抱きしめる腕に力が入るが、指先は優しい鷹人。


一生離れないで、という意味を込めて
彼の手に私の手を重ねた。