麗side

外の眩しさに重たい瞼を無理矢理上げる。
隣を見ると、鷹人がほわほわと周りに花が見えるほど温かい微笑みを此方に向けている。

その笑顔の温かさに私の心も温かくなる。

「ふふ、おはよう鷹人。」

「あぁ。…麗は寝顔も可愛いな。
ずっと見ていてもなかなか飽きない。」

飽きないって…この笑みはいつから向けられていたのだろう。

「見てたなら、起こしてくれたら良かったのに。」

「ふ、それじゃあ寝顔が見れないだろ?」

むむ、そうだけどそうじゃなくて
…こんな、他愛もない会話が出来るなんて、
幸せだなあとつくづく感じる。

頭を優しく撫でられ、その気持ちよさに目を細めると、体が宙に浮く。

ビックリして目を見開くと、鷹人が私をお姫様抱っこして、リビングまで連れて行ってくれているらしい。

いつもの定位置と言わんばかりに、
鷹人の足の間にすっぽりと埋められた私の体。

近くにあったリモコンでテレビを付ける。

陽の光が入った暖かい部屋に、新しい色が入る。

その光に、故意に瞬きをする。

目を開いた途端、頭が鈍器で殴られたような感じがした。



耳元で、愛する彼の声が聞こえる。
「ふっ、ようやく、だなぁ?」