麗side

パチリと目を開けると、先程まで私を抱きしめてくれていたはずの鷹人がいなかった。

途端感じる孤独。

心にぽっかりと穴が空いたように、
空虚感に包まれる。

鷹人がいないと何も出来そうにない自分に嫌気がさし、溜息を零す。

「ホント、情けないなぁ…」

くるりと周りを見ると、1枚の紙を見つけた。

鷹人の筆跡で書いてある、
“起きたら電話しろ”という文字。

さっきまで最低だったテンションも上がり
すぐさまスマホを手にする。


「早く…帰ってきて。」

ぽつりと本心を零すと
嬉しそうに「あぁ」と返してくれた鷹人。

それだけで、私の心も暖かくなる。

特に何もすることが無いので、
とりあえずベッドから出て水を飲む。


ピーンポーン

1口水を含むと、インターホンが鳴った。

鷹人なら、勿論インターホンなんて鳴らさない。
だったら…誰?

少し怖いけれど急用だったらいけないし…

恐る恐る画面の前に行きボタンを押す。


「…あっ、若っ!!
呼び出しから直ぐに向かいやしたっ!
何用ですかッ!?」