美作さんのことを思い浮かべているのだろう。

愁さんの目は美作さんを思い浮かべているように優しげで、口元も緩んでいる。

「妹を傷つけた馬鹿に優しくしてやる義理なんてねぇよ?…餓鬼が調子にのってんなよ」


ゾクリと鳥肌が立つ。

鷹人さんの溺愛ぶりは見れば瞭然だが、
愁さんからもこんなに愛されているとは…

愁さんは鷹人さんとは正反対の無類の女好き。
といっても、鷹人さんより上辺が優しいだけだ。

1回やったら即切るし、切り方もえぐい。

自分に依存させてポイするのが好きで、
1人の女を大切にすることなんて絶対にしない人。

変わらない緩さと変わらない笑顔。
それを武器に女で遊び、時には女で稼ぐ。
それが水谷愁という人間だ。

そんな愁さんにも大切にされてるなんて…
ますます、美作さんのことを知りたくて仕方がない。

と同時に、何故か心が締め付けられる感じがする…ほんと、何なんだこれ…


「…といっても、まぁ…
友達が出来たって嬉しそうな麗ちゃんを見るのは嬉しいからなぁ~。
1度だけ、…」

“俺から麗ちゃんに話してみるよ。”


バッと顔を上げると、
仕方のねー奴らだと鼻を鳴らしている愁さん。