貪欲に愛を欲す

「ちょっ、待って下さいっ!!!
それは話しが違いますっ!」

騒ぎ始める岳。

下っ端たちもオロオロとした表情を見せる。

「んんん?何の話が違うのかなぁ?
まともに護衛も出来ない黒翁を護衛から外すだけだよ?筋通ってるよねぇ?」

中々頭にきているらしい愁。



…元々土下座をして頭をさらに下げた玲於。

「お願いしますっ。もう一度だけ、もう一度、チャンスをくれませんかっ!?」

どよりと空気が淀む。

黒翁の頭を張る玲於。

プライドが高く、常に冷静で取り乱すことの無い絶対的な頭。

そんな玲於が、こんなにも頭を下げるところなんて見たことがないからだろう。

んなこと、俺には関係がないがな。

「玲於。お前はーー」
プルルルルプルルルル

俺が玲於に話をしようとした時、
なったスマホ。

初期の着信音にしているのは、私用のスマホだけだ。

入っているのは、麗と愁と銀夜のみ。

まぁつまりー、

「麗?起きたか?」
今は麗しかいないということだ。

『…ん、起きたら鷹人が側に居なくてびっくりした…。鷹人、お仕事?』
耳元で聞こえる甘い声。

寝起きだからか、その甘い声には吐息も含まれていて、先程まで最悪だった気分も最高のものに変わった気がする。

「いや、ちょっと外に出る用があっただけだ。直ぐに戻る。待ってろ。」

『うん。待ってるね?早く…帰ってきて。』

麗の嬉しい言葉に頬を緩ませた俺は、「あぁ。」とだけ返事をして電話を切る。