貪欲に愛を欲す

「…着きやした。」

銀夜の声。そして、俺側の扉が開く。

外に足を踏み出すと、前には黒翁の倉庫。
…懐かしい、な。

この倉庫に初めて入ったのは中2の夏。
親父の計らいだった。

俺の青春時代は全て黒翁で過ごした。
高1が終わりかける時に総長になり、
仲間と馬鹿やって、バイクで暴走し、時には暴れた。

高校卒業と同時に次の世代に引き継いだが、
それでもやはり黒翁には深い思い入れがあり、それなりに後輩も大切にしてきたつもりだ。

…傷つけた相手が麗じゃなかったら、なぁ?

数歩歩くと、見張りの奴らが俺に気づく。

「っ!8代目っ!」
此処での俺の呼び方は、先代、鷹人さん、8代目、と様々だ。

「今日はアポ無しだけどぉ~
玲於達に用があってねぇ?開けて?」
何も言わない俺に、後ろにいる愁が説明をすると、いそいそと開けられた倉庫。

開けられた倉庫の扉から、中に入る。

来たのは、玲於の就任式以来か。
…俺の時となんも変わってねぇな。

つってもくせぇ。男しかいねぇから、男の汗の匂いがたちくらむ。

ちっ、と舌打ちを吐き捨てる。

麗の甘い香りを堪能したくなって仕方ない。

「!鷹人さんっ!」
「どうしたんですかっ!?」
「お疲れ様です!」
中に入ってきた俺たちに、面子の声がチラホラと聞こえてくる。