貪欲に愛を欲す

1階に降り、煙草を吸っていると、
家の前に車がつく。

銀夜が開けた扉から中に入ると、
助手席には何故か愁が。

「何で居るんだよ」

「ん~?後輩が麗ちゃんに馬鹿なことしたんでしょ~?ちゃあんと教育しなきゃ、ね?」

俺の方を見て言う愁は口調は緩いが、
目は笑っていない。

ちっ、うぜぇな。

此奴は女好きだが、女の為に自分から動くことはまずない。
その愁が、俺が今から黒翁の倉庫に行くと分かって着いてきたなんて…

ちっ、そこまで麗を気に入ってんのかよ。

「…てか、何で知ってんだよ。」

車を動かす銀夜も、行く先を言っていないのに、黒翁倉庫方面に行っている。

「ん~?玲於から電話があってねぇ?
麗ちゃんに謝りたいんだってぇ~」

…謝りたいだ?
任せていた護衛以前に、麗を傷つけやがった馬鹿が何を謝りてぇって?

「…黒翁も落ちたな」
ポツリと零れた本音に、
「ほーんと。くそだねぇ?」と返す愁。

その後はなんの会話もせず、
煙草の煙を見つめながら、
俺のシャツに移った麗の甘い香りに浸っていた。