貪欲に愛を欲す

黒翁は俺の後輩だ。

麗は、俺の大切な後輩達を悪く言っているような印象を持たせないように、言葉を選んでいたのだろう。

…生憎、俺の大切なものは唯一。麗だけで。

麗は賢い奴だ。そんな馬鹿なこと、普通は考えない。けれど、今の麗は不安定で…

はっきり言って、今の状態だけでも、
俺は黒翁に殴り込みに行く気だ。

「…貼り付けたような笑顔も、意味深な目線も、すごく嫌なの。ううん、嫌っていうか…何を考えてるのかわかんなくて、怖い。」

麗の体を反転させて、向かい合うようにする。

揺れている、麗の目。
漆黒のその目は、再び闇に落ちようとしていた。

「そしたら今日ね、友達になりたいって言われたの。私のこと、知りたいんだって。」

淡々という麗。そんな麗とは逆に、
俺の心は嫉妬で煮えくりわたっている。

「ふふ、いるでしょ?噂の真実が知りたくて、偽善を被って近づいてくる人。
…私を護ってくれる、信じなきゃいけない人達が、そんな人間に見えたの。
そんな自分が嫌で、立ち去ろうとしたら…

黒翁の人に、手首掴まれたの。
思わず、振り払っちゃって。」

目に映るのは、麗の後悔。
…何だか、納得いかねぇな。

手首を掴んだ?釘を打ったはずなのに、俺の命令を聞かず、俺の女を傷つけたのか?