貪欲に愛を欲す

けれど、鷹人も暇ではない。

一向も出る様子がないスマホを切ろうとした時…

「麗?」

聞こえた、声。
私を救ってくれる、声。

「た、かと…今、何…して、る?」
震える声を紡ぐ。

「…5分で来る。
下ろしたところで待ってろ。」

それだけを言って、切れた電話。

きっと、鷹人は感じ取ってくれたのだと思う。

「はっ、ぁ…」
息を吐き出し、身一つで外に向かう。

HR開始のチャイムが鳴る。
廊下にも外にも、誰もいない。

私の教室がある2階から外に出て、
走りながら、今朝下ろしてもらった所に行く。

「はぁ、はぁ」
息が切れながらも、鷹人を待つ。

前に現れた、黒塗りの高級車。

キィッと音がして、止まると、
開いた後ろのドアから出てきた、私の男。


直ぐに鷹人が抱き締めてくれる。

「…」
何も言わない鷹人は、私を抱き上げると、再び車に乗り込む。

「…家だ。」

「へい」

急発進する車。
私の体は、鷹人に包み込まれるように横抱きされている。

バッチリ決められたスーツ。
普段はしていない眼鏡をかけている姿は、仕事を急いで抜けて来てくれたことを示していて。

私はまた迷惑をかけてしまったのかと、
ようやく気づいた。