貪欲に愛を欲す

そんな私に、頷いてくれた百合。

「あ、麗、お便所行こぉー?」

“お便所”なんて言う百合に、クスリと笑って、気を利かせてくれた百合の後を着いて行く。

途端、
パシッ
と音がして掴まれた私の手。

「やっ」
バッと、咄嗟に振り払う。

…前には、傷ついた顔をした童顔くん。

「あ、ごめ、ん、なさい…」
段々と小さくなる声。

中学時代でも、こんなことがあった。
しつこい女の子を振り払ってしまい、その子に傷が出来てしまった。そして次の日に、その子の分だと、沢山の人に殴られたこと。

あの時は痛くて痛くて、家に帰れなくて。
近くの公園で一夜を過ごした。


シンとした教室内。

「今、岳くん殴らなかった?」
「殴ったわよね?有り得ない。」

ヒソヒソと、女の子たちが話す声が聞こえる。

周りを見てみると、昨日の帰りに挨拶をしてくれた女の子が口を開いた。

「…ちょっと綺麗だからって調子乗ってるわ。鷹人様も、あんな子の何処がいいのかしら?」

嫌な、音がした。
嫌いな言葉が、私の頭を埋め尽くす。

“綺麗”という言葉は、
知らない男からの忌々しい行為を思い出す。


ダンッと百合を突き飛ばす。