麗side

「…行かなくても、いいんだぞ?」

カーテンの間から、光が刺す。

互いの不安を消すように、
昨日は初めて身体を重ねた。

鷹人の甘い身体は私を溺れさせた。

今まで、何よりも嫌だった行為は、
鷹人によって、大切なものに変わった。

けれど、身体を重ねても、
不安というものは簡単に解消するものではない。

鷹人の1番の不安は、自分の居ない所で、また私が震えを起こすことだろう。

昨日の今日で、学校に行って、
もし私がまた不安に包まれて我を失った時、
自分が傍に居ないことを恐れているのだ。

だから、先程からこうやって
今日は休むように催促されるけれど…

「ううん。それじゃあ何だか負けたみたいで嫌だもん。大丈夫。百合にも会いたいから。」

過去のことにこれ以上囚われたくない。
その為にも、学校には行きたい。

私の言葉に、納得してくれた鷹人は、
何も羽織っていない上半身のまま、私に腕を回して抱き締める。

強くなりたい。過去なんて捨て去りたい。
…でも…

「…でも、何かあったら電話してもいい?」

きっと、寂しくなってしまうから。
貴方の腕の中が私の居場所。

居場所から離れたら…
何があるか分からないから。