正直、鷹人さんの女とはいえ、
会うまではどうせ糞な女だろうと思っていた。

けれど、それは全然違っていて。
俺たちにも鷹人さんにも媚びない彼女。

白藤に、食堂の2階のことを聞いたのに、
2階に上がらずに友達と食べた彼女には驚いた。

必要最低限しか俺達と会話をしない彼女。

めちゃくちゃ、興味が湧いた。

…そして、震える彼女を…
守りたいと思った。

あぁ、これだ。
俺達の胸が締め付けられている理由は。


「俺さ、今日のことは俺達には関係が無いことだけど…美作さんを、守りたいと思った。」
幹部の1人、外崎 岳【Tozaki Gaku】が
小さく口を開く。

「…玲於以外、挨拶も出来てねぇからな。
想像とは全然違った人だったよな。
でも、…いや、だからこそ。
守りたいと思ったよ。」
副総長、宮 廉馬【Miya Renma】

岳と廉馬の言葉に頷く全員。
考えは、全員同じらしい。

俺も、彼女を守りたい。
そして…

鷹人さんや白藤に見せる目を、
俺にも向けて欲しい。

色んなことに淡白な彼女に、
大切にされたいと思う。


…この気持ちの名前を、
この時の俺は知らなかった。