その姿は、完全に俺達を拒否していた。

挨拶が終わったら、俺達には興味もなさそうに、先程の冷たい目を再び甘いものとして、ただ一心に鷹人さんを見つめていた。

それから、教室では、転入時から浮いていた白藤と友達になって。

それなりに楽しそうに学校生活を送っていた。


そして…放課後。

鷹人さんには甘い目を。
白藤には優しい目を。
俺達には…拒絶を見せた彼女は、

抱きついた女に、震えをみせた。

その姿は、俺達の前にいた彼女とは全然違っていて。

子供のように震える彼女を、
何処からか現れた鷹人さんは抱き締めた。

それだけで、幾分か正気を取り戻す彼女。


俺には、彼女が分からない。
鷹人さんや白藤を前にした彼女。
俺達を前にした彼女。
他校の女を前にした彼女。

どれが、本当の彼女なのか、分からない。

あれから、2人は帰っていって、
愁さんが他校の女の手を引いてどこかに消えた。
そして、俺達黒翁も迎えの車で倉庫まで帰ったが…

何故か、何の関係も無いはずの俺達は全員、
胸が痛いくらいに締め付けられていた。