貪欲に愛を欲す

途端、抱きしめられた身体。
鼻に香る、ミントグリーンの匂い。

温もりと、匂いで分かる。

私を抱きしめるのは、私の最愛の男。

「悪い、水取りに行ってたんだ。」
何時もと違って余裕のない声を出す鷹人。

鷹人、と言おうとした時。
頭に浮かぶ、瞳を選ぶ鷹人の姿。

「い、や…いや、いや。
瞳を選ぶんでしょっ!?私を捨てて、瞳を選ぶんでしょっ!?私には鷹人しかいないのにっ。やめてよ。やめて。
もう傷つきたくないのっ、離してっ!」

鷹人の胸板を押して離れようとする私に、
鷹人は抱きしめる腕に力を込める。

「麗」
有無を言わせない様な、
溜めた声に身体がビクリと跳ねる。

「お前を捨てる?有り得ねぇ。
お前には俺しかいないように、俺にもお前しかいねぇんだ。…愛してる。」
私のまぶたにキスを落とし、
涙を舐める鷹人。

妖艶なその姿に、ざわつく心も、
落ち着きを取り戻した気がする。

「瞳は…?」
けどやっぱり、傷つくと分かっていながらもこんなことを聞いてしまう私は弱い。

「鷹人は…瞳と私、どっちが良かった?」
溢れ出す涙は止まっていない。
涙が頬を伝うまま、ニコリと笑って問う。

私の、強がり。