貪欲に愛を欲す

耳につけると、聞こえてくる会話。

「…無事で良かったぁ…」
気持ち悪い、猫撫で声の女の声。

そして聞こえた、俺の愛しい女の声。
「…瞳」

感情のない、声。
低く、呟いた声。

瞳…瞳?

バッと車のドアを開け、全速力で走る。
後ろから、「おいっ」と愁が着いてきているのが分かる。

…瞳、美作 瞳。麗を傷つけた、1番の悪だ。

俺もアイツを調べていたが、
まさか、こんなにも行動の早いやつだとは思わなかった。

走りながら、麗を探す。
俺の、唯一の女を。

母校は、自分が通っていた時と何ら変わっていなく。
駐車場から直線で走っていると、
サッカー部何かが練習に使っているグラウンドが見える。

そして、その入口で、
今にも崩れ落ちそうなほど震えている、
俺の女。

ちっ、と内心舌打ちを吐く。

彼奴は、麗は、
もう傷つく必要なんてねぇのに…

「麗っ!」

俺の愛しい女を見つけた瞬間、
大声で名前を叫ぶ。

俺の言葉に、ビクリと肩をはね上げ、
此方を見た麗。

その目は…
漆黒に染まり、まるで絶望を表しているようだった。

そして、義姉を突き飛ばした麗。


その身体は異常なくらい震えている。