「奏くん、格好良くなったわねー」 もうっ。 「そんなんじゃないから」 私は床に置いていた鞄を手に取り、階段を上る。 部屋に戻ろう……。 佐伯くんには、明日直接聞けばいいや。 お母さんとお父さんに聞くより、話が早いはず。 私は部屋に入ると、鞄を置いて、ベッドへダイブする。 「疲れたぁ」 今日はドッと、疲れた気がする。 疲れの原因は、お母さんのハイテンションとお父さんの沈黙のせいだと思うけど。 私はベッドで伸びをしてから、体を起こす。