「めっちゃ楽しそうじゃん! 私、2人のダンス見てみたい!」 「葵!?」 見るの楽しみ、とか言いながら、はしゃいでいる葵。 だよね、と頷く千夏。 「む、無理だよ……。沢山の人の前で踊るなんて、恥ずかしくて出来ないよ……」 「だから、今から練習するんじゃん」 「だけど……っ」 反論する私に、千夏はため息を吐いた。 そして、私の肩を掴んでいた手を力なく下ろす。 寂しそうな目。 切ない表情。 ぶらん、と力ない腕。 そんな千夏の姿は初めて見た。