紅葉が少し羨ましかった。


ストレートに気持ちを伝えられるだもんな。


ま、でも…萌花ちゃんを困らせるようなことはしたくない。


「ほら、紅葉。萌花ちゃんに、ランドセルも見せるんだろ?その絵もせっかくだからプレゼントっぽくラッピングでもするか」


「うん!お兄ちゃん、ありがとう」


紅葉の手を引き、自分の部屋を出た。


確かリビングにラッピング用のリボンがあったはず。


「楽しみだね~!あ!お兄ちゃんは萌花ちゃんに、何あげるの??」


と、終始、ニコニコ笑顔の紅葉は、思い出したように俺に問いかける。


「…え?」


「だって、お兄ちゃんも萌花ちゃんに、チョコレートもらったでしょー?お返ししないの??」


確かに。バレンタインのお返しとして何かあげても不自然じゃない。


彼氏もそのくらいで怒らないだろう。


「…だな。俺も何か準備しないとだ」


集合時間までに用意しないと、そう心に決めて俺はリビングに向かって歩みを進めたのだった。