「いや、今さら気づいても遅いって…」
思わずこぼれた本音。
気持ちを自覚したのに時すでに遅しってことだよな…。
心の中でソッとため息をついた時、
「お兄ちゃん、ほらこれ!今日は、ホワイトデーだからね。僕、萌花ちゃんに、プレゼントあげるの」
そう言って、紅葉が俺に差し出してきたのは、
萌花ちゃんの似顔絵。
紅葉なりに一生懸命描いたのだろう。
クレヨンや色鉛筆で丁寧に色が塗られてあった。
「上手に描いたな、萌花ちゃん喜ぶよ」
「えへへ。幼稚園のね、お絵描きの時間に書いたの」
誉められて嬉しそうな紅葉。



